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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな20 

前回は斑猫(ハンミョウ)の句、しかも厳しい場面に居る斑猫=「道をしへ」で終った。
崖道の落石にゐて道をしへ     茨木和生
「道おしへ」は人が近づくと、飛び上がって少し先へ行き、道にそって、同じ動作を何度も繰り返す。その様子があたかも道を教えているように見えるのでその名がある。身体に細かい斑点があることから、正式には「斑猫」と言う。鴨方の町屋公園で、目撃したことがあるが、二センチくらいの美しい昆虫だ。    
さて「道」には「奥の細道」「女の道」「武士道」「歌道」「華道」「茶道」「花道」等等たくさんの道がある。脇道に逸れたが、論語の「朝(あした)に道を聞かば、夕べに死すとも可なり」を思い出した。「朝(あさ)に正しい道理を聞いてその道理の真意を理解できたなら、たとえその日の夕方に死んだとしても構わない」の意だ。「道をしへ」について行けば、何処まで行けるだろうか。
此方へと法の御山の道をしへ    高浜虚子
翁追ふ旅にあらねど道をしへ    鷹羽狩行
いそがねば戻れぬ道のみちをしへ  加藤楸邨
斑猫とくらがり越ゆるひとりかな   森澄雄
斑猫につくまでもなく法隆寺    藤勢津子
道をしへ目にもとまらぬ速さにて 田口たつお
道をしへ一歩一歩に迷ひあり    稲畑汀子

句を見ていると益々路頭に迷いそうだが、まずは“斑猫”を見つけることから取り掛かろう。
 夏休みもあと僅かになった。昔は宿題の定番と言うと昆虫採集だった。最近では観察や育てる研究が流行りの様だ。どちらにしろ、情報が多すぎて、立派すぎる参考書や図鑑に驚くばかりだ。
網を買ふ子の群れをりぬ夏休み  佐藤八重子
昆虫網か、魚網かわからないが、群れているのは子供!最近ではネットゲームの網に子供が引っかからないかと心配だ!捕虫網を振り回している方がよほど健康的で安心だ。高級な虫(デパート価格)のことは知らないが、普通の飛蝗、蟷螂、蜻蛉なら採集(確保)はゴロゴロいるので楽チンである。ともかく生息する昆虫の数はヒトの10億倍以上で、地球上の動物の半分以上(100万種)を占めているのだから・・・。
科学者は昆虫を目(もく)と呼ばれるグループに分類した。大きくは「ハチ目」「ハエ目」「甲虫目」「チョウ目」「トンボ目」「バッタ目」「カメムシ目」の7つである。かぶと虫は「甲虫目」、蟻は「ハチ目」、蝉は「カメムシ目」に属する。他にも「ゴキブリ目」「ハサミムシ目」などがある。実は脚が8本のクモ、ダニ、ワラジムシ(12本以上)ムカデなどは昆虫ではない。
死にたれば百足虫は脚を数へらる 雨宮きぬよ
百足と書くムカデの足は多い種になると百本をゆうに超える。「ムカデの医者むかえ」と言うお話では、「わらじを脱いでいると思ったらまだ履いているところだった」と笑えるが、噛まれたらその猛毒に泣くことになる。
糸ほどのものにしてすでに百足虫なり山口波津女
 小さくてもすでにそれぞれの虫の形を成しているのを観るのは興味深い。子供時代には、昆虫学者・ファーブルに憧れて虫眼鏡を持ち歩いたものだ。
「一寸の虫に五分の神(たましい)」と言うことばが、ある。“蜘蛛の巣”の精巧さや“蜂の巣”の正六角形の幾何学模様などを見るとき、その完璧さは“神のはからい”かと感動する。もしや、一寸(約3センチ)の虫の半分は神?と思ってしまった。神は人も虫も平等に創造したのだ!?だから“虫の居所が悪い”と人(ヒト)はすぐ感情的になり、理性?の糸がプツンと切れるのではないだろうか。
この句を人間社会に当てはめたら、「弱小なものもそれ相応の知恵や意地がある」「人にあっても上下、貴賎の差別のない」ことを示唆している。
江戸初期の俳諧書「毛吹草(けふきぐさ)」に「さんしょは小粒なれどからし」と並んで「一寸の虫に五分の魂」がある。俳句の座右の書であった。
 ところで「虫」ではないが“腹の虫”“ふさぎの虫”がいる。これらは人間の体内にあり、さまざまな考えや感情を起すもとになると考えられている。
虫がいい!自分勝手でずうずうしい
虫が起こる!むずかる、衝動(なまけの虫)など
虫が知らせる!なんとなく事前に感じる
虫が好かない!なんとなく気に食わない
虫が付く!  害虫が付く・娘に男が出来る
蓼食う虫も好き好き!!人の好みは様々

さて人間の役に立つ「虫」と言えば、蜜蜂だが、だんだん数が減って来たそうだ。また解毒剤が効かない毒性の強い虫が出現し、噛まれたら命を落す危険も出てきた。相手は地球の半数以上を占める虫!害虫、益虫などと簡単に片付けることはできない。虫の生態には学ぶ点が多い。人気ヒーローの「仮面ライダー」は飛蝗、「スパイダーマン」は蜘蛛、「ばいきんマン」は蝿がモデルだ。ともかく今「虫」から目が離せない。
次の句;多くの虫が時雨のように鳴いている。
求愛の唄か哀歌か?虫の世界は深遠だ。
雲が雲重ねて暮れて虫しぐれ   岡本眸
心頭を鎮めてよりの虫しぐれ   小澤克己
鳴きかはる今宵の虫を聞き分けて 稲畑汀子
蟲集く寝返りうつに耳が邪魔   中原道夫

蝉しぐれは、突然に木が膨らんだかと思うほどの音量となる。ツクツク法師が聞こえて来ると夏の終わりが近い。オーシツクツク!かなかなかな!
蝉鳴いて大社に昼の暗さあり   小澤克己
方丈に置いてありけり蝉の殻   木下野生
雨あがるしづくのやうに蝉鳴きだし密田真理子
かなかなの半音上げてかなかなかな 藤 勢津子
 想定外の豪雨や雷雨に襲われた列島も、さすがにお盆をすぎると秋の気配が漂う。鰯雲、鯖雲、鱗雲の季節がやって来た。
秋らしくなりたるといふ空と雲   藤 勢津子 
この句は元「運河」編集長の藤勢津子句集「遊学(ゆうがく)」から抽出したものだ。“空”という宇宙の大きなキャンバスを移動する“雲”の動きを見ている作者の自在な心の有り様に呼応して、なんとも爽やかな気分になった!
             やんぬるかな!
         
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Posted on 2013/08/23 Fri. 09:20 [edit]

category: やんぬるかな

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