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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな14 


やんぬるかな〈14〉  工藤泰子

美辞を避け序文書き上ぐ猫の恋   伊藤白潮 
前回の句の“猫の恋”の行方はいかに?本文はさておき、これは飼い主がからむ三角関係だろうか?
恋猫となりたるミーは嫌ひなり   谷口智行
この句が愉快なのは、ミーという名前である。ミーと鳴くからミーと言う名前を付けたのだろうが、英語のアイⅠ(私)の目的格MEとも思える。ミーと強く鳴けば回りは見えない。これまでの飼い主との関係は冷え切っている。「嫌ひなり!」とまで言い切るが、未練がましい。これも春だから!出来心だから!
さて巳年の一月も二月も足早に去り、「蛇穴を出づ」の季節となった。朽ちた蛇に似ているから、「くちなわ」と呼ばれ、夏の季語であるが、穴を出れば「春」!穴に入れば「秋」となる。
蛇の衣アナクロニズムアニミズム    泰子
くちなはをゆたかな縄と思ひけり  櫂未知子

神話や風土記は荒唐無稽なようだが、意外や真実の断片が見え隠れする事もある。古事記の上巻には出雲神話があるのに、日本書紀では触れないのは、何故だろう。出雲神話は作り話という見方が多かったが、最近の発見で様子が変わって来た。
1984年、島根県の斐川町荒神谷遺跡から儀式に使われたと思われる青銅の銅剣358本の大発見!
1996年、雲南市の加茂岩倉遺跡からは(弥正時代・二千年の眠りから覚めた?)銅鐸39個が見つかった。古代出雲の強大な勢力は?興味は尽きない。
平安時代の「口遊・くちずさみ」に「雲太、和二、京三」があり、「雲太」が一番大きいと言う伝承があった。二位は奈良の大仏殿、三位は京都の大極殿だと言うのだ。出雲太郎「雲太」の古代出雲大社は夢物語と思われていたが、金輪御造営差図も伝わっていたのでSF作家小松左京さんたちのプロジェクトチームが動きだした。そして八足門前に宇豆柱(うずばしら)の神殿柱根跡を発見したのは、今から12年前のこと。現代の大社の倍の大きさ!一六丈(48メートル)であったことが裏付けられた?
神話では、天高く結ぶ千木(ちぎ)を掲げた出雲大社は国譲りの代償として建てられたのだという。密約が交わされたのだろう。大国主神は葦原の中つ国は天孫系(大和政権)に譲り、冥界を治めることとなった。
あるかどうかはともかく、死後の世界を治めるので、大社の向きや縄の向きも逆である。神楽殿の大きな注連縄は日本一で、なんと一・五トンもあるのだ。注連縄は蛇の交尾を模したものであり、死と再生のシンボルでもあるのだ。
禍福は糾える縄のごとし
今年は出雲大社(約六十年ごと)と伊勢神宮(二十年ごと)の遷宮が奇しくも重なる稀な年だ。

くちなはもまた神徳に与かれり   島村正
一人としてお木曳きの綱を曳く   〃
     島村正 句集「伊勢」より
伊勢神宮の第六十二回式年遷宮、これはなんと1300年も連綿と続いている。二十年ごとに神様の建物や調度を新調し遷御するものだが、山口祭、木本祭に始まり遷御、奉幣、御神楽に至るまで30に及ぶ行事がある。国民の参加できる行事のお木曳きやお白石持ちも継承しているのは驚きだ。遷宮の為の費用はいかばかりだろうか?前回は三百二十七億円で、今回は五百五十億円の予算らしい。
いつまでも新しく、変わらぬ永遠の命をつなぐ「唯一神明造」が守り続けられているのは、奇跡のようだ。
世界の建築家や文化学者に「伊勢は世界建築の王座」とまで言われている。
徒(ただ)ならぬ一歩一歩よ日脚伸ぶ   島村正
さてもう一方の出雲大社の方は、五月十日に本殿遷宮祭が行われる。出雲と伊勢の遷宮が同じ年とは「盆と正月が同時に来た」ような感さえあるが・・それはともあれ出雲には、神在月(神無月)に日本各地から八百万の神様が集う会議「神議(かみはかり)」がある。
旧暦の十月十日の神迎祭、神々は龍蛇の先導で、海から稲佐の浜に上陸される。蛇は大変重要な役割を果たしているのだ。
最近各地で、神楽のブームが再来している。映画やテレビで育った世代がウルトラマンではないが、八俣のオロチと対決するのだから・・・なんとも心強い!
さて大蛇「おろち」とは何だろう。八つの頭、八つの尾、木々が生えた体を持つ大蛇をスサノオは十拳(とつか)の剣で、切り込み、退治し英雄となった。このオ・ロ・チは「尾」の霊力と言う怪物なので、尾から不思議な力と持つ剣が出てきたのだ。これが「三種の神器」の一つ「草薙の剣」である。
大蛇神話の舞台は、島根の斐伊川(ひいかわ)で、氾濫を繰り返す暴れ川を象徴している。鉄分を含む褐色の砂が大蛇そのものに見えたのだ。剣は製鉄文化の夜明けを暗示しているのだ。
蛇が出たついでに奈良の三輪山伝説の蛇神に触れよう。三輪山は円錐形で、蛇がトグロを巻いているように見えることから山自体を神格化してそこにおわす神を蛇神とした。三輪の大物主神が丹塗りの矢と化す話が古事記にあるが、丹塗りの矢は蛇の象徴(赤い蛇)と考えられる。大国主神の別の呼び名に、大己貴神(おおなむちのかみ)八千矛神、大物主神がある。地方の神様をひっくるめ統合したからだが・・・
しかし「葦原醜男」という呼び方は出雲の神様に少し失礼ではないだろうか!
  古代の夢脈打たせつヽ蛇覚めぬ  下重暁子
はて穴の中の古代の夢は?暗い穴の中の蛇は神様だったのに違いない。
              
蛇穴を出づるとの報時計見る   鈴木鷹夫
        やんぬるかな! 

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Posted on 2013/02/22 Fri. 17:55 [edit]

category: やんぬるかな

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