08 « 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.» 10

空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな12 

やんぬるかな〈12〉   工藤泰子
 前回はかごめ、とうりゃんせ、おにごっこ、かくれんぼ、などの遊びにふれた。 
かくれんぼ三つ数えて冬となる  寺山修司
遊びは時に残酷で、大人になるための通過儀礼なのだが、正月の遊びは「目出度く」なければならない。そこで今回は季語になっているめでたい遊びと俳句を取り上げた。
歳時記には「春」「夏」「秋」「冬」の他に「新年」が特別にある。あら玉・千代の春・四方の春・睦月・元日・日の始め・鶏日・元旦・大旦(おおあした)・歳旦・鶏旦・初暁・二日・三日・・・七日正月・女正月・初三十日・晦日正月などなど、一月のほとんど毎日が行事で、明け暮れる。
元旦の人通りとはなりにけり 正岡子規
元旦の掌に鉄管の水ひびく  飯田龍太
元旦の開くと灯る冷蔵庫   池田澄子
元旦や手を洗ひをる夕ごころ 芥川龍之介
星屑と云ふ元旦のこはれもの 中林美恵子

取り立てて言うことがなくても、元旦はやはり特別だ。
  日本がここに集まる初詣   山口誓子
「初」を付けると、たいがいが新年の季語になる。初明り・初晴れ・初風・初富士・初景色・初波などは奇麗だが、初笑い・初泣き・初転び・初喧嘩・初火事までも季語なのだ。正月の寒鴉は「初鴉!」に昇格?できる。
西暦のカレンダーで生活をしていると、まだ冬なのに暦ではもう春?」と慌てることもしばしばだ。陰暦の一月・二月・三月が歳時記では「春」だが、太陽暦では二月四日の「立春」までは「冬」なのだから・・。
目出度さもちう位なりおらが春  小林一茶
家庭的には恵まれなかった一茶がめずらしく妻と長女と三人そろった正月を迎え「世間並みの幸せ」を戸惑っている?「ちう位」は「いいかげん」の意。
この「目出度い」、「芽出度い」は当て字で、賞美する意の動詞「めづ」に程度がはなはだしい意の形容詞「いたし」が付いたもの=「愛(め)で甚(いた)し」からきている。古語辞典では①魅力的だ。心惹かれる。②立派だ。見事だ。素晴らしい。③祝う価値がある。慶賀すべきだ。ここでは③の意味である。しかし目出度すぎて“お”をつけ「おめでたい人」と持ち上げると「思慮が足りない、馬鹿正直な人」になるので、注意が必要だ。
では新年の季語の「遊楽」を見てみよう。
 歌留多、百人一首、トランプ、双六、初占、投扇興、福笑い、羽子板、手毬、独楽、ぶりぶり、などがある。
歌留多はカルタで、語源はポルトガルである。平安時代の貝合わせがルーツで、江戸、京、大阪、上方いやいや、尾張いろは等がある。おなじみの「犬も歩けば・・」は江戸で、京では「一寸先は闇」である。他にも「を」の札は、「鬼も十八(京)」「老いては子に従え(江戸)」「鬼の女房に鬼神(大阪・尾張)」と違うので、遊び比べてみたい。
羽子突きの羽根は無患子(むくろじ)の実を使う。“子供が患わない”という字にちなみ“魔除け”に通じる。
羽子板の重きが嬉し突かで立つ  長谷川かな女
福笑いは笑う門には“福”来る?今や、お多福は美人ではないし、自虐ネタのようで、子供には受けないかもしれない。
目隠しの闇に母ゐる福笑ひ  丹波亜郎
双六はサイコロで、運を争う?人生ゲームである。浄土双六、道中双六、出世双六などあるが、次の句では、上がり(京都)の近く(大津)まで来て“戻る”の目が出た・・。
双六のごとく大津に戻りけり  鈴木鷹夫
凧揚げがないのは不思議だが、実は凧・いかのぼりなどは春の季語なのである。凧あげは占いや戦の道具の一つで、敵陣までの距離を測ったり、遠方に放火する兵器としても活用していた。良寛さんが「風に乗って高く舞い上がるように!」と子供の凧に「天上大風」と書いた話は有名だ。
正月の地べたを使ふ遊びかな  茨木和生
独楽まわし・めんこ・釘刺しなどは“地べた”を使う遊びだろう。他にも戸外で円や線を描いて遊ぶものに、押し競饅頭・ケンケンパもあった。縄跳び・陣地とり・ゴム跳び・缶蹴り・たか鬼・こおり鬼・ちゃんばら等懐かしい思い出だ。
独楽まわしは、こまの寿命くらべ、喧嘩ゴマや、曲芸の遊び方があり、独楽の技や性能を競い、研究するなどもして中々奥が深い(こまの力学・惰性モーメント)。コマは唐から高麗(こま)を経て伝来したので、その名がある。
めんこは鉛のめんこや紙のめんこがあり、私の子供時代は、野球選手の川上や稲尾の角めんや、丸めんだった。
給食の牛乳瓶の紙の蓋でも「フウーキー」(吹いて飛ばす)や「パッチン」(当てて裏返す)が流行っていて、勝つために作戦や秘訣を練っていたものだ。由来は江戸時代の泥面子(粘土で人の顔(面)をかたどった)で、魔除けの意味がある。割れるまで打ち付けたり、ぶつけたりして遊ばれていたようだ。女の子には〈おはじき〉もあった。
季語ではないが、〈けん玉〉や〈お手玉〉は、脳を刺激し、集中力を養うことができる遊びだ。たかが〈けん玉〉
と言うなかれ、「もしかめ」「ふりけん」「世界一周」「月面着陸」などの技を競う選手権もあるそうだ。
ところで、最近の子供たちは、テレビゲームや携帯のゲーム機に心を奪われている。家族で楽しむための「人生ゲーム」も発売されたようだが・・もっとお外で遊んだら?
  初夢のなかをどんなに走つたやら  飯島晴子             やんぬるかな!

    
スポンサーサイト

Posted on 2012/12/26 Wed. 18:28 [edit]

category: やんぬるかな

TB: 0    CM: 0

26

コメント

Comment
list

コメントの投稿

Secret

Comment
form

トラックバック

トラックバックURL
→http://yasukoenjoy.blog.fc2.com/tb.php/46-943a82be
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

Trackback
list