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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな64 

やんぬるかな64  工藤泰子

  一歩とは永遠への意志や青き踏む 小澤克己
嬰生まるはるか銀河の端蹴つて   〃  
 前回の“一歩”の句の小澤克己さん(「遠嶺」創刊・主宰)は、七年前四月、胃癌で六〇歳で亡くなっている。宇宙との一体感、人と自然を一体として見る「情景主義」を提唱、句集には、「青鷹」「爽樹」「オリオン」「風舟」、評論に「新艶の美学」等がある。
右脳より左脳へ桜吹雪かな    小澤克己
身体を言葉で計測する試みもした作者だが、さて桜は、どこへ吹雪いたのだろう。
たしかなことは判らないが、「右脳」は「イメージ脳」=アナログ、「左脳」は「言語脳」=デジタルと言われている。だから、右脳で、感じたことが、左脳で、言語化してゆくのだろか?桜吹雪の最中にいて、刻々と言葉を得て行く恍惚感を感じたのだが・・
風が噂ひろげしほどの芽吹山   小澤克己
西行の目をもつて入る木の芽山   〃

前掲の芽吹山の句では、風が噂ひろげし!のユニークな発想が、進行形の芽吹きを見せてくれる。西行の「目」と木の「芽」の対応により、西行の桜にまで、視点が広がるようだ。
鴨引きし湖あたらしき空を負ふ  小澤克己
夏霧をはらひ六十路の舟を出す   〃
静かに舟を出してゆく。「出す」という自発的な意思もありながら・・亡くなってしまう。「舟」という言葉に希望を込めたのではなかったのか。
小澤氏は1977年、「沖」に入会し能村登四郎、林翔に師事。1980年「沖」同人となる。今、俳句界で活躍する俳人の多くは、「ホトトギス」の高浜虚子、「馬酔木」の水原秋櫻子、「天狼」の山口誓子の流れを汲んでいる。それ以降では、現代俳句に人材を送り出したのは、加藤楸邨の「寒雷」と、この「沖」ではないだろうか。山脈と水脈の系譜は次の様だ。
「寒雷山脈」=青柳志解樹・石寒太・今井聖・金子兜太・澤木欣一・中村正幸・森澄雄・矢島渚男・・・
「沖水脈」=林 翔・福永耕二・鈴木鷹夫・今瀬剛一・大牧 広・吉田汀史・中原道夫・小澤克己・正木浩一・正木ゆう子・・・・
 
さて、話を身近に戻そう。3月18日に岡山県俳人協会総会が開催された。遥照には現代俳句協会の人もいるので当日句会のことを少し紹介しよう。不肖私も、昨年に続き、司会者を仰せつかったので、夏井いつき先生をもじり、“春野たんぽぽ!”と名乗り、盛り上げを図った?いつき組の黒岩徳将君が「ももももももも句会」の若者5人と参加してくれたこともあり、いささか悪乗りしてしまった。「も」の字が7つ?早口言葉みたいな「もも・・句会」の活動とは?
【青春を俳句に懸ける!】このキャッチフレーズどおりの若者たちは、俳句甲子園の勇者たちである。今回、黒岩君は、自身が執筆した「俳句甲子園をふりかえる」【俳誌要覧(2017年度)】の本を手に、「もも・・句会」には、他県からの参加もあり、活発に交流、活動する様子が報告され、会場は大いに盛り上がった。 
さて当日、168句(84人)の中に彼等の句も交じり、活発な句会となったのは、間違いない。では、
注目句、関係者(遥照)の句と彼等の句を見よう。      
シーソーの一人抜け出す蝶の昼  島村博子
さへずりや散らかりやすき文机  松尾佳子
胎動はしづかに強し玉椿     畑  毅
待つといふ豊かな時間春の雲   武田佐自子
閉校や囀の空残すのみ      綾野静恵
啓蟄や地下路線図の込み合ひて  佐藤文男
粋の字の印半纏初つばめ     大倉祥男
木の芽風村の小字を名乗る橋   森脇八重
うららかに羽全開の鳶の笛    安藤加代
鳥の水脈扇状となる春の池    久戸瀬孝子
古井戸のポンプぱふぱふ猫柳   工藤泰子
      〈もも・・句会〉
火焔土器よりてふてふの骸かな  黒岩徳将
黒々と城のうつれる石鹸玉    竹中佑斗
国はなほ桜を愛しつづけたる   瀬崎雄太
クローバを飾るあたらしい生活  大原里梨歌

今年、第20回全国高等学校俳句選手権大会(俳句甲子園)は8月18・19・20日に開催される。
昨年、岡山の就実高校はベスト6の快挙で、団体奨励賞を受賞したそうだ。坂口くんは個人賞に輝いた。
鉄琴の全音天の川に足す     坂口渚 
テレビで、俳句甲子園の戦いを見ることができる。たまたまスイッチを入れた時、岡山俳人協会幹事の畑毅さんと古川明さんが審査員をされていた。会場は、松山の繁華街、大街道で、そのアーケードの天井から大垂幕に書かれた両チームの俳句が掲げられる!創作力(10点満点)と作品の鑑賞力(3点満点)を5人の審査員が採点し、旗を上げて勝敗を決する。最後までハラハラ・・運動会の綱引きの様で実に面白い・・。
地方予選は6月11日に岡山県立図書館ホールで開かれるので、ぜひ応援に来てほしいそうだ。
彼等はどんな風に俳句を作っているのだろう。
巻末に落書きのある春休     竹中佑斗
燕来るポニーテールのゴムは切れ 大原里梨歌
高架下ノイズの中に初蝶来    坂口渚
太陽に公転しゃぼん玉生まる   瀬崎雄太

これらの自由な発想は右脳で解釈する必要がある。
鯛焼の頭を見せて入場す     黒岩徳将
鯛焼(冬の季語)が「頭を見せて」〈中七〉に、重大な意味があるのだろう。「頭」から「尻尾」まで「餡子」が入っている鯛焼きなのか?残念な鯛焼なのか?そもそも「餡子」なのかどうか?句意は深いのかもしれない。
土砂降りの街を漂う海月かな   岡崎真紀
真紀さんは、どのような街を詠んだのだろう。海月のイメージは宇宙船の様だ。右脳と左脳の両方を稼働させて、俳句の海原を漂ってみようか。   
やんぬるかな!
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Posted on 2017/04/27 Thu. 17:14 [edit]

category: やんぬるかな

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