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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな49 

やんぬるかな49  工藤泰子
一月号の「やんぬるかな48」に「深海」63号の評論の一部を引用したい!と中村先生にお尋ねしたところ、「ご自由にお取扱い下さい」と次の句が添えられたお便りを頂いた。
猫の眼を発せしひかり冬稲妻  中村正幸
 自由で、魅力的な正幸俳句の“ひかり”を見よう。
  白息は追憶の色ひとり見る 中村正幸
  冬滝の音氷らねば氷らざる  〃
 

前の回で紹介した二句を、「色」「音」に焦点を絞って鑑賞してみた。
〈白息〉寒さで、吐く息が白くなる。息、言葉、思いが白くなる。息は命である。自分から発した白い息は無垢な色!そしてすぐ消える存在!
〈冬滝〉まだ凍っていないのは、水音が聞こえるからだ。厳しい寒さの中で息づいている音も聞こえる。
凍りそうな事態もある・・。
こんな調子では、深みに入るばかりだ。
正幸先生は「人間探究派」と呼ばれる加藤楸邨に師事。評論「楸邨俳句を読む」は40回になる。
※「寒雷」は楸邨が創刊から終生まで主宰した「寒雷」では、上述のような楸邨自身の作風の幅広さを反映し、伝統俳句系の森澄雄、社会性俳句から前衛俳句に進んだ金子兜太という対照的な二人を初めとして多様な俳人が育った。楸邨は「俳句の中に人間の生きること」という、創刊以来の命題は変えなかったが、指導においては修辞などについてとやかく言わず各自の方法に任せたという。また弟子という言葉を嫌い、門人を「仲間」と呼んで対等に議論し合える関係を望んだ(ネットより)
さて、正幸先生との出会いは、10年前、「東京会館」で開催された“文学の森”出版祝賀会である。その年度に句集を出版した人や俳句関係者が招待される。そこで、私にも招待状が舞い込んだ。
※工藤泰子第一句集「葉風泰夢(ハーフタイム)」
その日の運河・主宰の茨木和生先生は別の会に出席の為、私はまるでシンデレラ?の様に一人で行くはめになった。そこは別世界で、俳句雑誌で見かける高名な先生ばかり・・。ほとんど何も記憶していないのは、雰囲気に吞まれてしまったからだろう。
たまたま同人誌「湖心」の仲間の長島衣伊子さん(現「朴の花」主宰)と矢島康吉さん{「筝漏亭日常」を俳句界に連載中}も関係者のお祝いに来ていたので、地獄で仏!と縋り付いた。彼女のお導き?で、島村正先生、秋本惠美子さん(宇宙)、山元志津香先生(八千草)、鳥井保和先生(星雲)の皆様方と親しくお話する機会を得ることができた。今はそれが財産となっている。幸運にも、二次会では、中村正幸先生にお話を伺うことができた。「湖心」に連載していたエッセイ「猫にスキャット16」(H20年春号)を見るとその興奮ぶりが判る。一部・・・
       ☆☆☆
うららかや貌をはづして猫眠る  中村正幸
中村正幸句集「万物」の帯にある句である。その句に私の目は釘付けになった。「万物」は千を超す句から成っている。普通の句集に比べて多いのは“万物”だからなんて冗談はさておき、私にはこの一句だけで十分に万物である。
正幸先生とは、文学の森のパーティの二次会でお会いした。にこやかな“お顔”はつくりものではないぞ、というのが、第一印象である。そしてこの句集が第3回文学の森大賞に輝いたことを知り、あつかましくも送って戴いた。早速、「万物」と照(しょう)見(けん)五蘊(ごーうん)・・・〈色、受、想、行、識〉体と心で格闘した。すべてが深い!
彼は「深海」の主宰である。結社名が物語るように“深い”のだ。愛知県西尾市にお住まいで、読売新聞東海版選者、現代俳句協会東海地区理事をされている。
余談だが、「三河万歳」の本拠は西尾市である。漫才は万歳の現代化であり、ボケとつっこみで掛け合いをするのは同じだ。才蔵の駄洒落を太夫がたしなめるという形式はそのまま、私はさしずめ「才蔵」という役を頂こう。
“うららかや”この季語が効いている。でもそれに気づくのは反芻して後のこととなる。 “貌”を外す?ええっ!”猫眠る“それで?”うららかや“と順繰りに”どんな?“”どうして?“・・・才蔵の早合点はひたすら続き、貌、顔、皃、かお(かほ)、かんばせ、ひたい(ひたひ)、おも、おもて、つら、づら、つらぁ、面といろいろなカオになる。そしてとうとう象形文字となり猫のカオとなる。今、我が家の猫たちはカオをはづして寝ている。そしてそれは幸せの極致であるのだ。太夫に「もっと深く読んでよ!」と突っ込まれるのは承知の上だ。・・後略
☆ ☆ ☆
次は、一昨年に出された第四句集『絶海』を紹介しよう。〈たのしさが私の行動原理であり、この楽しさに後押しされて俳句を作りつづけてきた!〉とある。句集名から厳しさを覚悟したが、一読すると、楽しい作品ばかりだ。軽妙な言い回し、発想が豊かで、アイディアに溢れている。しかし詠み込むと“深海”“絶海”が“深層海流”が立ちはだかる。百聞は一見に如かず。味わい深い句ばかりだ。
  咲くやうに結ばれてをり初みくじ
  おはじきの一つ一つに丸き冬
  てのひらの裏も表も小春かな
  やはらかく咳して語りはじめけり
  指入れて手袋に意志生まれけり
 
話は変わるが、俳誌・俳句界のニュースをネットで公開している。これは、そのリンクである。
http://haikukai/tv
山本健吉賞、北斗賞など各賞の受賞の様子や地方の大会が映されている。「書斎訪問」のコーナーでは、橋本榮治・能村研三・加藤耕子・辻桃子・茨木和生先生などがあり、誰からでも、何処からでも見学?聞くことが出来る。
正幸先生の「書斎訪問」を見た。
〈楸邨先生の事〉〈俳句が愉しく仕方がないこと〉、〈毎日20句作っている〉〈写生・・見る・・心を向けると相手・・自然も答えてくれる〉〈素直に接していれば俳句は自然にできる〉〈毎日のつぶやきは575〈自己疎外感のある時代に心を救ってくれる俳句〉などの言葉が印象に残った。
座右の書は、ビアス著の「悪魔の辞典」で、中でも
【人類】=【人間なる種族を意味する集合名詞。ただし人類の中で詩人たちは除く】・・が参考になった。
落ち込んだ時などに、安らぐ本だそうだ。
 約20分の映像に、たくさんのコトバが詰まっている。見れば、俳句観が変わることを断言する。
最後に師弟対決?寒卵!
寒卵どの曲線もかへりくる 楸邨
絶海のしづけさにあり寒卵 正幸
 
どの曲線??しづけさ??とても語れない!

野の色のうるみ出しけり七日粥   正幸
セロハンの音でつつみしシクラメン  〃

 再び、「色」と「音」で終ろう。
    やんぬるかな!

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Posted on 2016/01/29 Fri. 10:30 [edit]

category: やんぬるかな

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29

ベイファームの菜の花 

DSC_0658.jpg     DSC_0657.jpg
初景色・初ドライブ! 笠岡ベイファームに行きました。
正月4日なので、お店はまだ開いていませんでしたが、
早咲きの菜の花が出迎えてくれました。
次々と黄色いカーペットになって行くことでしょう。

Posted on 2016/01/09 Sat. 18:32 [edit]

category: 日常

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09

遥照1月号(2016) 

             DSC_0677.jpg 
大仰に万骨を折る枯蓮田    佐藤宗生 
矢のごとき老の一年十二月   花房柊林
尺玉の肝にひびきし冬花火   甲斐梶朗
流木の満身創痕もがり笛    中西八千代
抱へたる焼藷ぬくし顔ぬくし   竹地恵美
足音は菩薩の山へ落葉径    川崎照女
暮れてゆく紅葉明りの女坂    石津淡紅
 
人の輪の和にも通じて大根煮る  牧 明子
熟れ柿の夕日の色をしたたらす  田中愛
昂りに太鼓の連打神楽舞      古川澄子
群れてゐる鴨抱くかに大水輪   森脇八重
立ち止まることも生き方菊日和   原房江
歩く背を追ひかけて去る時雨雲  森靖子
土蜘蛛も足袋履いており神楽村  土屋鋭喜
耳朶に在る幼き頃の亥の子唄   宮原はづき
天気かと尋ねられては日向ぼこ  石井弘子
煤払ふ手を止めさせる文の束    柚木寿代
ゆく秋を映してダム湖閑かなり   久戸瀬孝子
山の陽を軒に集めて蕎麦を干す  藤沢絹子 
風たちて木の葉の白き吐息かな   虫明有菜
 
冬の雨心閉ざして夜明け待つ    徳永保美
冬空に真紅の炎攻めぎ窯      山下卓郎
 
代々の遺愛の畑の蜜柑もぐ     中西富子
難解な漢詩の屏風風防ぐ      浅野陽
電動の轆轤をまはす師走かな   工藤泰子
 

Posted on 2016/01/09 Sat. 14:07 [edit]

category: 遙照

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