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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな42 

やんぬるかな42   工藤泰子

  消えさうな虹の映れる自動ドア 涼野海音
  神々は跳び箱を待つ立夏かな  黒岩徳将

 前回は二人の若手の俳句で締めくくった。「最近の俳句ってこんなん?」「よく解らん!」と思われた人も多いだろう。この句をどの様に読めばいいのだろう!そこで改めて『関西俳句なう』(本阿弥書店)に掲載の二十六人の各50句の中から、夏の俳句とVS(バーサス・対)と称する往復書簡からヒントを見出したい。
神々は跳び箱を待つ立夏かな  黒岩徳将
この句を加納綾子さんが、次の様に述べている。
「五〇句の中で一番好きなのは、「神々・・」です。静かな句なのですが、これから本番へ進んでいく夏の明るさも感じられ、また神々という超越的なものと跳び箱という身近なものを一句の中に入れることによって、不思議な魅力が生まれていると思います。」
さて、黒岩さんと加納さんのプロフイール
【黒岩徳将】 1990年生まれ  岡山在住
 俳句集団「いつき組」所属
 第5回石田波郷新人賞奨励賞受賞
    「耳立てて」 50句の中から一部 
新緑の積み木危ない方に積む
薔薇よ薔薇私に肉を食ふ権利
紫陽花や劇場の幕開かんとす
ハンコ屋のハンコ八月一五日
塔の告ぐる三時兎は耳立てて

【加納綾子】 1989年生まれ 4才から俳句を始める
鬼貫青春俳句賞優秀賞受賞
    「加納五七五」 
藤ゆれる不安がないと不安なの
ハイヒール山に突き刺し夏に入る
今宵だけ水羊羹に沈みます
フラミンゴおなじ角度に初日浴ぶ

黒岩さんが、加納さんに宛てた書簡(一部)では、
「・・『椅子だけがそこにすわっておりぬ春』が印象的でした。加納さんの句は一句の中のひねりがのびのびとしたものがいくつかあって、そういった句がすごく好きです。
つけ睫毛わんと咲かせて卒業す  
蟻つけたまま教科書を朗読す
 『わんと』や『蟻』を持ってくる手法など、これらの句は・・・アイデアの種は、普段どのように生み出そうとしていますか?(当時スエーデン留学中)」
 このように、二人組(十三組)の往復書簡は、とても初々しく遠慮がちに書かれている。
しかし俳句となると、「東京がなんぼのもんじゃ」と殴り込みをかけただけのことはある。やはり相当な兵(ツワモノ)揃いだ。総合誌、テレビで、この名前を見ることが増えて来るだろう。
彼らが“夏の句”を読めばこうなる。
  消毒剤詰め替えられていく立夏    藤田亜未
  チョコボール空へ転がる立夏かな    工藤 蕙
  人波に逆らひて行く暑さかな       杉田菜穂
  立夏なら五両目あたりに乗ってます  中谷仁美
  炎天に傾くボトルシップかな       手嶋まりあ
  草食系男子代表心太           山本たくや
  不揃いのビー玉背の順にして、夏   松井春奈
  踏切が鳴って気付けば別の夏     藤田 俊
  きつね来て久遠と啼いて夏の夕    久留島元
  ペナルティエリアに倒れてるパセリ   塩見恵介

 これらのどこを切っても【金太郎飴】ではなく、自由で、しかも愉快だ。
 彼らは何処から来て、何処へ行くのだろうか?この本の仕掛け人?代表者?責任者?は誰だろう?
朝倉晴美さんの「あとがきにかえて」によると、キャプテンは塩見恵介(船団副代表)さんである。
「・・その『なう』船は、ときに難破しそうになりながらも、今、未踏の小島、いえパラダイスの港に入りました。クルーたちは相変わらずパワーが有り余っていますし、自我が強くて一言も二言も多いのですが、必ずや新しい航海で新しい島を見つけることでしょう。」とある。
クルーは「船団」(坪内稔典代表)、「俳句集団いつき組」(組長・夏井いつき)、他には、関西で活躍中の若手俳人からなる複合チーム?であった。
俳句甲子園の予選が始まった。そこで活躍した世代が“俳句”を次の世代にリレーしている。若者が白熱した討論(ディベート)で、俳句を語るのを見ると、この舞台を経験した世代を頼もしく思う。
森川大和さんもその一人だ。
15歳より「いつき組」
第2回俳句甲子園団体優勝、個人最優秀賞
第1句集「ヤマト19」現在松山東高校俳句部顧問
    
 「天国の鍵」
  向日葵やローマに冥き朝の丘
  噴水に濡るるペテロの鍵厚し
  膝赤くせし礼拝の子の日傘
  懺悔室日をいくえにも塗る晩夏
  真実の口とは深し原爆忌

映画「ローマの休日」で有名な「真実の口」を読んでいる。偽りの心がある者は、手を抜く時にその手首を切り落とされる、手を噛み切られる、或いは手が抜けなくなるという伝説がある。岡山駅の通路に、「真実の口のレプリカ」がある。肝試しにいかがだろう。
 先日、「春燈」の白神知恵子さんの句集「女坂」を頂いた。本の帯の句「後押しの風あたたかや女坂」に、一行の句に人生が見えてくる。ページを捲る度に次々と巻き起こる様々な風を感じた。
 何がうそ何がほんとの露まろぶ   久保田万太郎
 何一つ置かぬ贅沢夏座敷       白神知恵子
 
            やんぬるかな!
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Posted on 2015/06/28 Sun. 08:56 [edit]

category: やんぬるかな

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遥照6月号 

                         DSC_0684.jpg
        尺取に計られてゐる風の向き    佐藤宗生
      つばめ舞ふ話上手な薬売り      花房柊林 
      風薫る山に木の椅子石の椅子    中西八千代
      立たされて腫れ面なる葱坊主     甲斐梶朗
      傾ける藁屋掠めて柿若葉        竹地恵美
      半眼の弥陀の目濡るる鳥曇り     川崎照女
      読み解けぬ翁の碑新樹光        石津淡紅
      ジャスミンの香をまとい来る郵便夫   田中愛
      火と燃える摺ガラス越し赤芽垣     古川澄子
      満目の新樹に応ふ空の靑         森脇八重
      撮る人も撮らるる人も花の人       森靖子
      天耕の島の小径や花は葉に        原房枝
      食う当てのない筍の尖り様        土屋鋭喜
      すれ違う人美しや花の塵         久戸瀬孝子
      名札立て勿来草を囲ひけり        柚木寿代
      万物の投げかけている新樹光      虫明有菜
      その内という約束も余花の雨       藤沢絹子
      美しき二度目の命花筏           山下卓郎
      野の花を茶室に活けて利休の忌     徳永保美
      利休忌の茶筅供養の鐘清し        中西登美
      紅志野に淡き香の立つ利休の忌     浅野陽 
      咲き満ちて羽化の始まる桜かな     工藤泰子
  
     
    

Posted on 2015/06/04 Thu. 17:57 [edit]

category: 遙照

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