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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

「岡山の文学」 第49回岡山県文学選奨作品集 

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   魔方陣    工藤泰子

① かなかなの真ん中にある魔方陣
② 狂騒の渦となりゆくつくつくし
③ 黒揚羽飛び来て向きを変ふるところ
④ うつせみの風にふかるる挽歌かな
⑤ キュビズムの金魚と眼合ひにけり
⑥ 序破急のひぐらしの樹となりにけり
⑦ 弱拍のジャズの流るる夜の秋
⑧ 手花火の綺羅を大きく育てけり
⑨ 海の家畳んで海のよそよそし
⑩ 海に浮く浮輪に穴の残さるる
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Posted on 2015/03/31 Tue. 07:54 [edit]

category: 俳句

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やんぬるかな39 

やんぬるかな39 工藤泰子
 前回は夏目漱石の句で締めくくった。
橋杭に小さき渦や春の川     夏目漱石
菫ほどな小さき人に生れたし     

“小さき渦!”“小さき人”と言う漱石だが、“大きな世界”を目指していたのかも知れない。
 俳句ではないが、歌集としては至上最高のベストセラーとなった「サラダ記念日」の作者、俵万智の本「旅の人、島の人」を読んだ。(2014年、ハモニカブックス出版)
 “旅の人”となった理由は次のようである。
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 「2011年三月中旬、余震と原発が落ち着くまでと思い、小学生の息子と二人で避難をした。中略
沖縄に特にあてがあったわけではない。ただ、なるべく西のほうがいいかなという思いと、たまたま空席(飛行機)あったという幸運のおかげだ。その時はまさか、そのまま住みついてしまうとは、思ってもみなかった。」
その後、古い友人のいる石垣島に行き“島の人”となったのだった。
孟母にはあらねど我は三遷し
西の果てなるこの島に住む  万智
 
未曾有の大震災の後だ。幼い息子を抱える母親の決断は決して生易しくはなった。
「読書日記から」を読んだが、内容も難しい。
『「あの日」からぼくが考えている「正しさ」について』(高橋源一郎・河出書房新社)**本を参照して**
『春の先の春へ震災への鎮魂歌、古川日出男、宮沢賢治「春と修羅」を読む』(左右社・CDブック)
それには「震災を契機に書かれたものだけが、震災を語っているわけではない。賢治の視線には、宇宙から、あるいは未来から東北を見ているようなところがある。今この言葉を味わうことは、深い意味を持つと感じた」と書いている。
 石垣島に移住して三年あまり“旅の人”と言うには長く、“島の人”と言うには短い時間?の育んだ歌を挙げよう。豊かな自然!南国の深くて濃い緑!透きとおる海!子育てにも羨ましい環境だ。
藁をとり拝めるごとく手を擦れば
    おばあの指から縄が生まれる  万智
晴れた日は「きいやま商店」聞きながら 
     シャツを干すなら海へ向かって 〃
  註「きいやま商店」は石垣島のミュージシャン
 子どもらが十円の夢買いにくる
      駄菓子屋さんのラムネのみどり 〃

この本の中に見つけた「ちいさな言葉」と「ちゅうくらいの言葉」とは何だろう。
揺れながら前へ進まず子育ては
お前がくれた木馬の時間   万智

雑誌に連載した「木馬の時間」を纏めたエッセイ集が「ちいさな言葉」である。
【背中で抱っこ(おんぶのこと)】
【穴のあいた台所(ツーウェイキッチン)】など、幼い息子の言葉なのだが、
「語彙が少ないぶん手持ちの言葉の組み合わせでなんとか表現しようとする。それが、時に詩の言葉のようにも聞こえる」
なるほど、子育てを楽しむ“魔法の杖と呪文”の持ち主だ。まだまだある。それがユーモアのセンス!まさしく“生きる力”だ。
【育児ことわざ】「泣きっ面は放置」「急いてはヘソを曲げられる」「花より団子虫」「一寸の虫にも五分立ち止まる」
「目くそ鼻くそ食うな!」「ねこにもこんばんは」
「男子、危うきに必ず近寄る」
「飯は食わねど菓子は食う」
「好きなおもちゃも七十五日」

次は「ちゅうくらいの言葉」だ。
今や4年生の彼は、日本語がペラペラ??しかし
【八方美人】の意味を知って「がーん。オレ今まで、『どこから見ても美人』って意味だと思っていたよ。」【胃の中の蛙】井戸の中の蛙
【顔に泥を塗る】びよう!美容法?

 彼の詩的な言語には見習うものが多い。もし松尾芭蕉が聞けば、拍手喝采したのではないだろうか。
「俳諧は三尺の童にさせよ、初心の句こそたのもしけれ」
彼の一〇歳を記念して、歌集「オレがマリオ」(二歳から九歳まで)が出された。親子で紡ぐ言葉(ことのは)には驚かされることばかりだ。
ぼくの見た海は青くなかったと
     折り紙の青持ちて言うなり  万智
振り向かぬ子を見送れり振り向いた
ときに振る手を用意しながら 〃
「オレが今マリオなんだよ」島に来て
     子はゲーム機に触れなくなりぬ 〃

今は、ゲーム機よりも面白い、楽しい世界を与えてくれる島の生活だが、大人になっていく“マリオ”の行く末は??悲喜交交!乞う御期待!

旅人の目のあるうちに見ておかむ
      朝ごと変わる海の青あお  万智
 
      :::::
さて日本人と言えば「桜」
 ひさかたの光のどけき春の日に
      しづ心なく花の散るらむ  紀友則

 山里の春の夕暮れ来てみれば入相の
        鐘に花ぞ散りける     能因法師
 花見にと群れつつ人の来るのみぞ
        あたら桜のとがにぞありける  西行
 
  敷島の大和心を人問(と)はば
       朝日ににほふ山ざくら花  本居宣長

  桜咲く大日本ぞ日本ぞ       一茶
  散る桜 残る桜も 散る桜     良寛 
 さくらさくらさくさくらちるさくら 山頭火

「サクラ」の語源は諸説あり、「咲く」に複数を意味する「ら」を加えたもの、春に里にやってくる稲(サ)の神が憑依する座(クラ)などがある。回帰・再生・循環・無限・・・・なにしろさまざまだ!

   さまざまのこと思ひ出す桜かな 芭蕉
同じように見える桜も毎年違う花をつけ、自分も桜を見るたびにいろいろな思い出がよみがえる。桜を見る感慨は年ごとに変化して来る。

   ちるさくら海あをければ海へちる 高屋窓秋               やんぬるかな!

Posted on 2015/03/28 Sat. 19:41 [edit]

category: やんぬるかな

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遥照3月号 

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春めくや日の輪風の輪遊ばせて   佐藤宗生
オリオンやわが洗心の天仰ぐ     花房柊林
うしろ手に猪鍋奉行の漢どち     石津淡紅
葉牡丹の渦巻く妬心弛びけり     中西八千代
安産のお守り三つ春隣         甲斐梶朗
一郷の芥をさらふ雪解水        山崎靖子
犬と歩く初音の贅を貰ひけり      牧明子
如月や性善説を疑いぬ         古川澄子
草萌えを視野におきたる杖の道    田中愛
内海の色重ねつつ春霞む       森脇八重
寝たきりの母細りゆく六つの花    原房枝
詠む人の芝火に追はれ大移動    森靖子
褌を抱え会陽の人となる        土屋鋭喜
山裾になびく煙や春兆す       久戸瀬孝子
赤白と侘助の枝鳥遊ぶ        藤沢絹子
せせらぎに似合う毛皮の猫柳    虫明有菜
句敵の席の埋まらぬ余寒かな     柚木寿代
焚く榾の炎の彩に引き込まる     山下卓郎
幼子の頓珍漢の御慶かな       中西登美
みずうみの売り声乗せて寒蜆     浅野陽
旨味とは寒に耐えたる蜆かな     徳永保美
つぎつぎと風を取り換へしゃぼん玉 工藤泰子

Posted on 2015/03/07 Sat. 16:24 [edit]

category: 遙照

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