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空海が行く

俳句 猫 庭 のこと

やんぬるかな79 

やんぬるかな79  工藤泰子
7月9日に気象庁に「西日本豪雨」と名付けられた豪雨だが、13日、大雨特別警報が最初に出た6日から1週間を迎えた。広島県と愛媛県では、なお2千人が孤立状態とみられている。死者が200人を超える中、行方不明者の捜索が続く。豪雨災害では初の「特定非常災害」に指定される方針だそうだが、「阪神淡路大震災・新潟県中越地震・東日本大震災・熊本地震」に続くものなのである。
実は私は、平成7年1月17日、阪神淡路大震災を経験している。死者6434名を出し、自然災害では伊勢湾台風に次ぐ死者をだした。その日、テーブルの上に落ちて無事だったテレビで、映されるニュースを見ていたが、神戸のビルや高速道路の崩壊など、地獄絵のような惨状・・だった。
西宮のマンションの6階は揺れに揺れたが、家具や食器が壊れた程度で済んだ。ガスと水道は使えなかったが、家屋の倒壊や火事に見舞われた人のことを思えばありがたいくらいだった。
こんな話を持ち出したのは、お隣の倉敷市真備の被災状況を報道番組で見て、思いだしたからだ。「何かできないのか!」と、焦る気持ちになる。小田川の堤防の決壊によって、町の4分の1が浸水し、42人の犠牲者が出た。
高梁川は、新見市千屋の花見山にその源を発し、倉敷市酒津で小田川と合流、倉敷平野を貫流し倉敷市水島において水島灘に注いでいる。7市3町(新見市・高梁市・総社市・早島町・倉敷市・矢掛町・井原市・浅口市・里庄町・笠岡市)が、水の恩恵にあずかっている。これまでも何度か水害に見舞われているが、その都度改修もされていた。
今回、これほどまでになった原因は何だろうか?高梁川と小田川の合流地点の“バックウオーター現象”“ボトルネック”だのと、理由を挙げているが、圧倒的な水が、押し寄せて来たことが、最大の要因だろう。
金光町のその日、夜中の雨はいつまでたっても降り止まなかった・・携帯電話には特別警報と避難指示を知らせるための警告音が、鳴り続き、テレビでは、「50年に一度の大雨です。」「命を守る行動をしてください!」と呼びかけていた。一夜明け、うちの近所はたいした被害がなかったが、真備は大変なことになっていた。まさか命の綱の堤防が決壊するなんて!
今回の豪雨被害が、大変なのは、暑さと土砂であろう。浸水した家具や家電製品はゴミと化してしまった。二階まで濁流が来ると誰が予想しただろう!
人から聞いた話ではあるが、パニックになると、持ち出す優先順位もわからなくなり、携帯だけ持って飛びだしたそうだ。車が、家が、家財が、生活が、思い出が、・・濁流に吞みこまれていった。これはもう他人事ではない!地球が、日本が、山が、川が、危ない!でも、人は立ち直れると信じている。復興を信じよう。
記憶は少し風化しているのかも知れないが、阪神淡路大震災後の瓦礫の撤去やライフライン、交通網の整備などは、驚くほど速かったように思う。空き地、公園、テニスコートにまで、仮設が建ち並んだが、その後、耐震構造の高層住宅が次々に建ち、まるで未来都市の様相だった。中でも、瓦礫の山だった阪急西宮北口の再開発は目を見張るものだ。西宮は「住みやすい街ランキング」で、5年連続トップに選ばれている。

梅雨出水・出水の句をいくつか紹介しよう。いつもの景色が劇的に変貌する様子も読みとれる。
梅雨出水耳元に闇うねりけり   山田六甲
逆鱗に触れたる梅雨の出水かな    〃
すさまじや出水のあとも降りぐせに 岡本眸
山と海つながりしより出水川   稲畑汀子
川幅を使ひ切つたる出水川      〃
流れ来る山の消息出水川       〃
山と海つながつてゆく出水川     〃
泥炭の層現れし梅雨出水     茨木和生
薇(ぜんまい)の闌けし崖まで出水跡 〃
テント掛けして出水後の崖直す    〃
熊の棚らしきが流る出水かな    〃
出水より牛上げられて牧日和 小松美保子

さてうんざりの雨だが“季語との暮し”の中で、「雨」や「風」の名前が、地方によって名前を変えることも、知っておきたい。
今回は、「雨の名前」を小学館の「まほろば歳時記」から、いくつか抜いてみた。帯文には、【乾いた心と体に沁みていく雨は天からのおくりもの】とある。季語でないものもあるが、風土を感じるネイミングである。
「汗疹枯らし」「かたばたあみ」「半夏雨」「暴れ梅雨」「陰性梅雨」「送梅雨」「梅霖」「大抜け」「脅し雨」「御雷様雨」「神立」「喜雨」「錦雨」「狐雨」「日照雨」「荒梅雨」「男梅雨」「女梅雨」「空梅雨」「天泣」「虎が雨」「紅の小便」「婆脅し」「銀竹」「もらったあみ」等
【白雨】―しらさめ、太い雨脚や地を叩くしぶきに、薄れた雲間から日が差して白く見えるような雨。
【梅雨前線豪雨】―梅雨末期にくる豪雨のことで、雷をともなうことが特徴。
【陽性梅雨】―ザーッと降ったと思ったらサッと上がる陽性型の梅雨ながら、時に集中豪雨となって災害につながることも多い。西日本に顕著だが、梅雨の後期には東日本でも起こる。

人は、「雨」に神を感じたり、親しみやすく呼んで、味方につけているが、ひとたび牙をむくと手に負えなくなる。問われているのは、自然との向き合い方ではないだろうか。先ずは「川上」の「森」の現状を知ることだ。
運河の副主宰(5月就任)の谷口智行氏の「日の乱舞・物語の闇」から、「紀のわたつみのやまつみの『嗚呼森よ』」から一部を引用したい・・。
「紀伊山地の七十パーセントは植林である。森を歩いていると、枝打ちや間伐をしていない山を多く見かける。荒れた山には下草がなく、天上からは光が差し込まず、森が暗い。樹幹も細い。手入れの行き届いた森は樹と樹の間隔が絶妙で、明るく、樹幹が太い。下草が青々としている。下草はやがて腐り、スポンジのように水を蓄えて豊かな土壌を形成する。
下草に裏白羊歯が繁茂し、山紫陽花などが咲いている森は安心して見ていられる。手入れのされていない森は表土が流され、根株が露わになっている。また森の表土は下草によって抑えられているため、これがないと地すべり現象が起こる。実際に「山腹崩壊」の箇所が所々に見受けられた。杉の根は横に張る性質があって、下向きにはせいぜい一メートルほどの深さにしか達しない。よって荒れた杉山は崩れやすいのである。」
日本中の森に危険が迫っている。
山洗ひ海を洗ひて颱風去る   右城暮石
滴りに大河の気魄見てゐたり  谷口智行
とりけものにんげん神の滝かこむ 〃

 嗚呼一滴の水!   やんぬるかな!

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Posted on 2018/07/16 Mon. 17:54 [edit]

category: やんぬるかな

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16

遥照7月号2018 

               201406040928000.jpg
水打っていらだつ大地鎮めけり   佐藤宗生
麦秋の村に人影なかりけり       花房柊林
あめんぼの水輪ぶつけ合ってゐる  甲斐梶朗
手際よく宿主料る初鰹         石津淡紅
水門は鮒の溜り場梅雨深し    牧明子
雨となり風情添へけり花菖蒲    山崎靖子
友釣りは性に合はぬと鮎投網   竹地恵美
満開の杜鵑花(さつき)水面に燃え移る  瀧口和代
縫針に糸の通らぬ梅雨ぐもり   古川澄子
曲水の底石透ける楠若葉     森脇八重
脚立から雲引き寄せて袋掛く   原房代
大代田天文台を映しをり      森靖子
梔子のはじまりといふ白さなり  久戸瀬孝子
鮎解禁我も我もと瀬を渡る    長畦恭子
水張り田夕月映し明日を待つ   井上和子
井戸ぶたに身じろぎもせぬ青蛙   石井弘子
初桃に伸びし寿命と思ひをり   山下和子
かなぶんの羽音をたてて灯に入りぬ  大室瀧子
不夜城の水中花にもある疲れ    土屋鋭喜
蜜蝋の流るる如く西日曳く      山下卓郎
黒松の毛虫の群れにおののけり   藤沢絹子
野良仕事テキパキこなす薫風裡   虫明有菜
岩苔のみどり膨らむ梅雨湿り    徳永保美
ぬか雨に南天の花降り零つ    浅野陽
鶺鴒の青の飛びたる室生川    南みどり
全力のつもり私と蝸牛       高橋あい子
かけがひの無き青空よ子供の日  工藤泰子

Posted on 2018/07/05 Thu. 21:47 [edit]

category: 遙照

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05

第7回いながわ桜まつり「第5回俳句大会」 

2018・いながわ桜まつり 第5回俳句大会 
 
工藤泰子選 特選

花篝漆黒の闇華やぎぬ  世良美智子

夜桜に風趣を添えるために焚く篝火が、漆黒の闇から立ち上ってきます。
闇が華やいだと言ったところに、俳味を覚えこの句を特選にさせていただきました。
入選
薄墨の画布染まりゆく朝ざくら  川口恭子
 まだ桜色ではない朝ざくらを「薄墨の画布」という措辞が詩的です。染まりゆく・・これからの画布の色を期待させる佳句です。
序破急のそれぞれ美しきさくら花  松崎香苗
 雅楽や舞楽から来る言葉を使うことで雅な印象があります。さくら花の「序」を蕾とすれば、「破」は満開、「急」は桜吹雪だろうかと、想像します。それぞれが美しいのです。
花をこひ生をかさぬる民なりき  松崎香苗
  本居宣長の「敷島の大和心を人問はば、朝日に匂ふ山桜花」の様に、日本人の心に根付いている桜に心を寄せています。西行もしかりです。
飛花落花もろ手揚げそな童子仏  島田宣子 
童子仏はかわいい石像でしょうか。もろ手を揚げそうなのは、作者も同じです。
桜しべ降るおおいくさ終へし如  葛西正機
 最初、桜しべをみて、合戦の後の矢の様だと詠まれたとおもいましたが、この句では、桜しべがまだ降っていますので、矢戦なら継続中です。この句では、桜が咲き終えて、花のおおいくさが終わったと言うことですね。ユニークな視点です。
佳作
降りしきる桜の中の風となる    上葉正子   
散るさくら川面を染めて空青し   笠原好
鳥語降る歓喜の声の花移り    飯田紀子
佐保姫の衣に似たる花筏      安藤妙子 
蒼天や万朶の桜辺を制す     森田文英
外つ人とシーソーに乗る花の影  森靖子
生きているかぎり青春花に酌む  飯田勝
散る桜手を振り解き児が駆ける  飯田勝
自動ドアー入るを拒まず桜蕊    村下勝實
桜満開チェホフの愁い広ごり来  松井和恵
辻芸に喝采のごと花吹雪く    小林怒水
羽衣の端切れかくやの花吹雪  小林怒水
言の葉のあふるるごとく花咲けり   涼野海音
花吹雪渓のかたちに声ひびき   島田宣子

北村柳虹選 
特選

薄墨の画布染まりゆく朝ざくら  川口恭子

入選
猪名の郷すそ野に浮かぶ花の雲   井谷算美
二分咲きの桜が良しと汲み交はす   森田文英
青年の伸びる力や朝桜        織田美代子
散る桜手を振り解き児が駆ける   飯田勝
川沿を染め上げる帯桜道      杉村初子



Posted on 2018/06/28 Thu. 08:28 [edit]

category: 俳句

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28

やんぬるかな78 

やんぬるかな78  工藤泰子
前回は吉野弘詩集を紹介した。
「生命は その中に欠如を抱き/それを他者から満たしてもらうのだ/世界は多分他者の総和/私も あるとき/誰かのための虻だったろう/あなたも あるとき 私のための風だったかもしれない」
先日のシンガポールの会談は、急転直下、友好へ向かう方向が示された。吉野弘の詩は、平和へのメッセ―ジが込められている。「・・風だったかもしれない・・・」さてどんな風が吹くのかは判らない。
熟れのよき鰣(はす)鮓(すし)宇多喜代子が為成す  和生 
実は、茨木和生句集「真鳥」から紹介した前掲の句についてだが“為成す”の背景を知ることになったので、改めて紹介したい。記事は「大阪俳人クラブ会報156号」の講演「魚と俳句」である。
「宇多さんは毎年、会津只見川下流の鮓作り名人の所へ行って、山椒の葉をいっぱい使った鰣(はす)鮓(すし)を作ってきます」とあった。毎年、会津までとは!季語を暮す俳人なのだと改めて感心した。陶芸を齧っている関係で、もう一つ気になった句がある。
  蚊だやしの地渋崩して泳ぎけり   和生
「蚊だやしは目高に似た外来種で、ぼうふらを食べてくれます。僕は目高と同じ季語として使っています。田圃で蚊だやしが動くと、水面がぎらぎら光るのが何なのか、三年間わからなかった。ある時、陶芸家が釉薬にしようとその水を掬っていたので、尋ねたら、じしぶと教えてくれました。広辞苑に「地渋=田・溝などの水面に、鉄さびのように光って浮かぶもの」とあり、何としても句にしなければ、と思ったのです」
他には、田作・鯛・干鮎・鰆・ごんずい(ぎぎ)・鯥五郎・桜鯛・のめ(のろげんげ)・諸子・稚鮎・初鰹・鱚・鱧・眼張・色鯉・金魚・秋味・目白鯔・氷魚・寒鯉などの句と解説があった。
〈茨木和生の魚の俳句」のレジメに、魚の季語九十四、作句例百十一句からの要旨から・・〉 

さてさて、最近の「歳時記」はどうなっているのだろう。インターネットで、人気を調べると、やはり、「夏井いつきの三六五日季語手帖」等々・。俳句集団いつき組、組長の独り舞台のようだ。若者では神野紗希さんの「俳句の練習帳」があったが、ネットで調べる若者事情なのだから、当然とも言える。
「夏井いつきの赤ペン俳句講座」「・・美しき、季節と日本語(上達のポイント満載)」のお勧めポイントは、「毒舌キャラで人気の俳人・夏井先生の手にかかれば、ありきたりな平凡な句があっと驚くイメージ豊かな一句へと早変わり! 本書は、そのミラクルな言葉の化学変化の秘密を初公開。五・七・五にパズルのように言葉をはめ込めば、脳を鍛えて幸せホルモン・ドーパミンが泉のごとく湧いてくる。俳句を詠めば、脳が若返る!ストレスに強くなる!脳科学者・茂木健一郎氏の対談を収録」だそうだ。
最近の「プレバト」は結構レベルが高い・・!気軽な様で尻込みしてしまうのもしかり・・。先ずは歳時記を手に取ってみよう、そうすれば、心の中の俳句の蕾がぽんと開けるはずだ。
 ところで、角川ソフィア文庫から今年の五月に出版された「俳句歳時記『夏』第五版」角川書店編に、お馴染み、四国の涼野海音さんの句が、収録されているので紹介したい。
【麦の秋・むぎのあき】麦秋 むぎあき・ばくしゅう
新しき道のさびしき麦の秋    上田五千石
○駄菓子屋に空き瓶ひとつ麦の秋   涼野海音
麦秋のやさしき野川渡りけり    石塚友二
麦秋の大土間にある凹みかな   大峯あきら
【虹・にじ】
虹なにかしきりにこぼす海の上   鷹羽狩行
○誰もゐぬ港に虹の立ちにけり    涼野海音
虹二重神も恋愛したまへり     津田清子
【麦刈・むぎかり】麦車・麦扱・麦打・麦埃・麦殻焼・麦稈・麦藁
○傾いてわたる日輪麦埃       涼野海音
麦殻を焼いて列車を見送りぬ    櫂未知子
麦藁の今日の日のいろ日の匂ひ   木下夕爾
【捕虫網・ほちゅうあみ】
捕虫網買ひ父がまづ捕へらる   能村登四郎
垣越しにゆく大小の捕虫網     佐藤郁良
○新神戸駅で降りたる捕虫網     涼野海音
【海の日・うみのひ】
海の日の海より月の上りけり   片山由美子
○海の日の一番線に待ちゐたる    涼野海音
 海音さんの俳句ばかりを取り上げたが、現代を代表する若手作家として、どうどうたる詠みぶりだ。他に、
茶粥にも旬ありとせば薄暑かな   茨木和生
遮断機の今上がりたり町薄暑    高浜虚子
小満や白磁の椀に湯を享けて    大石悦子
 
夏は「花火」!日本三大花火大会と呼ばれているのは、「全国花火競技大会 大曲の花火」(秋田)、「土浦全国花火競技大会」(茨城)、「長岡まつり大花火大会」(新潟)で、テレビ中継もあるほど風物詩になっている。花火が始まる前の昂りと終えたあとの句を選んでみた。
暗く暑く大群衆と花火待つ     西東三鬼
くりかへす花火あかりや屋根は江戸 三橋敏雄
この空に記憶さまざま大花火     桂信子
一枚の海に戻して花火終ふ     鷹羽狩行
闇がなほ濃き闇つくる花火後   能村登四郎
閑けさや花火消えたるあとの星   日野草城

 十年位前に、大阪淀川の花火大会へ十人の仲間と行ったことがある。明るいうちから、出かけたが、余りの人出に、途中で引揚げた。イベント慣れした若者はその臨場感が楽しいのだろうが・・、我等中年?は駅ホームで、花火の音を聞きながら電車に乗り込み、地元の居酒屋で、気勢を上げたのだった。
 手花火となると、全く違う感慨になる。
散らばりし闇に手花火はじまりし  稲畑汀子
くらやみに手花火ともる児の声も    林翔
 手花火の綺羅を大きく育てけり   工藤泰子
手花火の火玉すとんと落ちにけり   稲畑汀子

やはり、前月紹介した桂信子さんの句は「大花火」でなくてはいけなかった。
大花火何と言つてもこの世佳し    桂信子
死にし人別れし人や遠花火    鈴木真砂女
 花火が終わった後はだれしも寂しい。
            やんぬるかな!

Posted on 2018/06/16 Sat. 07:48 [edit]

category: やんぬるかな

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遥照6月号2018 

                 DSC_0231.jpg
麦秋の村うごきだす朝ぼらけ    佐藤宗生
新緑や塔かたむけて国分寺     花房柊林
恙なく神事勤めし桜鯛         甲斐梶朗
一閃の影に口開けつばめの子   石津淡紅
いたどりをポカンと折れば昔見ゆ  牧明子
臥す母に五月の暖を入れにけり    山崎靖子
教室に白のカーネーション一つ    竹地恵美
吊橋の真中に立ちて谷若葉      滝口和代
地の下はシードバンクか草芽吹く   古川澄子
おのおのが彩しづくして花菖蒲    森脇八重
そよ風に淑女熟女の杜若       原房枝
常磐木の落葉の舟や苔の上     森靖子
黄金週間高速道の光る帯       井上和子
ディズニーの魔法にかかり風薫る   石井弘子
きのふとは違ふ鏡や柿若葉       久戸瀬孝子
すり鉢に母の温もり木の芽摺る     山下和子
里山はふくよかなりし新樹光      大室瀧子
遠雷の「中平」銘の古刀かな      山下卓郎
島遍路橋三十年風一日         土屋鋭喜
看護師の言葉ひとつや楠若葉    虫明有菜
あれこれと苗を揃えし穀雨かな    藤沢絹子
下駄跳ねて揃いの衣装夏祭      徳永保美
穴子焼く香に包まるる安芸の旅    浅野陽
黒南風や手打ち硝子の波打てり    南みどり
人生の句読始める古希の春      高橋あい子
若草へ広げるランチバスケット    工藤泰子
  

Posted on 2018/06/04 Mon. 11:31 [edit]

category: 遙照

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